相続登記の経費について!費用の内訳や注意点も解説

相続登記の経費について!費用の内訳や注意点も解説

不動産を相続した場合、名義変更の手続きである「相続登記」が必要になることをご存知でしょうか。
相続登記を放置してしまうと、売却や管理がスムーズに進まず、思わぬトラブルの原因となることがあります。
手続きには費用がかかりますが、中には経費として計上できるものもあり、知っておくと安心できるでしょう。
そこで今回は、相続登記の基本的な流れから費用の扱い方まで、実務に役立つポイントを解説します。

相続登記とはなにか

相続登記とはなにか

相続登記は、不動産を相続した際に、その所有権を正式に自分の名義へ変更する手続きのことです。
2024年からはこの相続登記が義務化され、期限内におこなわない場合は罰則が科される可能性があります。
さらに相続登記を怠ると、不動産を円滑に処分できないばかりか、相続税申告や今後の相続手続きにも影響を及ぼす可能性があります。
大切な資産を守るためにも、早めに登記を完了しておくことが望ましいです。
ここでは、相続登記の基礎知識と、必要性について簡潔に解説します。

登記簿と所有者の名義を一致させる必要性

登記簿は、不動産の権利関係を公的に記録するものです。
相続後に名義を変更しないと、実際の所有者と登記上の名義人が食い違い、法的トラブルや手続きの障害になる可能性があります。
また、売却や担保設定が難しくなり、複数の相続人間で所有割合が曖昧になると争いの原因にもなります。
登記簿と実際の所有者を一致させることで、相続人同士の関係を円滑に保つことができるのです。

相続登記をおこなわないリスク

相続登記を放置すると、不動産の所有者が誰なのか明確にならず、売却や担保設定などの活用ができなくなるおそれがあります。
さらに、相続人の一人が亡くなるなど時間が経過すると相続関係が複雑化し、同意が得られにくくなる「数次相続」も発生しやすくなります。
そうなると必要書類や手続きが増え、手間や費用がかさむ可能性が高まるでしょう。
また、長期間にわたって登記をしないままだと、第三者が時効取得を主張するリスクもあり、結果的に資産を失う可能性も否定できません。

2024年から相続登記が義務化された背景

これまで、相続登記は義務ではなかったことから放置されるケースが多く、所有者不明の土地が全国各地で問題となっていました。
今後、高齢化の進展とともに相続件数が増え、さらに所有者不明の土地が広がる恐れも指摘されています。
所有者が分からないと売却や開発ができず、地域活性化や公共事業にも支障をきたします。
こうした課題を解消するため、2021年に法改正がおこなわれ、2024年4月から相続登記が義務化されたのです。
不動産を相続した方は、取得を知ってから3年以内に登記申請する必要があり、正当な理由なく遅れると過料が科される可能性があります。

経費にできる相続登記費用の種類について

経費にできる相続登記費用の種類について

相続で不動産を取得する際には、登記手続きに多様な費用が発生します。
中には税務上「取得費」として扱えるものもあるため、知っておいて損はないでしょう。
この章では、相続登記の費用や経費として計上できる項目を解説します。

登録免許税の概要と計算方法

登録免許税は、不動産の登記時に国へ納める税金です。
相続登記では、固定資産税評価額の0.4%が課され、評価額が2,000万円なら8万円となります。
これは売買時の2%より低く、相続時の負担を抑えるための優遇措置です。
相続時には、複数の不動産を同時に登記する場合もあり、その分の登録免許税が必要となります。

取得費用として扱える登記関連の支出

相続登記に関わる一部の費用は、不動産を売却するときの譲渡所得計算で控除できる「取得費」として扱えます。
登録免許税のほか、戸籍謄本や住民票、評価証明書の発行手数料、交通費や郵送費も合理的範囲で含まれます。
これらを取得費とするには領収書などの証拠を保管し、売却時に証明できるようにしておくことが大切です。

司法書士に依頼した場合の費用と相場

相続登記は自分でおこなうこともできますが、申請書類の作成や戸籍の収集、法務局への提出など多くの手間がかかります。
また、不備があれば再提出が必要になり、時間がかかることも少なくありません。
こうした手続きの負担を減らし、正確に進めるために司法書士に依頼する方が多いです。
司法書士報酬は1件あたり5万~10万円程度が一般的で、相続関係の調査や図面作成を依頼すると、追加費用が発生します。
なお、登記手続きに直接必要な報酬部分は取得費として認められる可能性がある一方、遺産分割協議書の作成などは対象外となることがあります。
手続きを確実に終わらせたい場合は、専門家に任せるメリットが大きいでしょう。

相続登記を必要経費にするときの注意点

相続登記を必要経費にするときの注意点

不動産を相続した際にかかる登記費用は、税務上の扱いに注意が必要です。
相続登記を正しくおこなうことで、将来的に不動産を売却する際や、新たに融資を受ける際の手続きがスムーズになります。
一方で、費用の計上方法を誤ると、後から修正申告や追加納税が生じる可能性があるため、注意が必要です。
登記申請の際は書類内容を十分に確認し、不備がないよう注意しなければなりません。
とくに、不動産を複数相続した場合などは、どの物件にいくらの費用をかけたのかを明確にしておかないと、経費計上の際に混乱しやすくなります。
ここでは、債務控除との関係や、複数の相続人がいる場合の費用分担、経費計上の留意点などを説明します。

債務控除との関係と注意すべき点

相続税計算では、生前の借金や葬儀費用などが「債務控除」として認められますが、相続登記費用はこれに含まれません。
登記費用は、相続後に相続人が負担する支出とみなされるため、遺産総額から差し引けないのです。
相続税申告の際に誤って債務控除として計上すると、後で否認される可能性があるため注意が必要です。

複数の相続人がいる場合の費用分担

相続人が複数いるときは、登記費用を誰がどのように負担するか、あらかじめ決めておく必要があります。
一般的には法定相続分に応じますが、単独で不動産を取得する相続人が全額負担することもあります。
たとえば、兄弟が3人いるケースで長男が土地を相続し、ほかの兄弟が現金を相続した場合には、登記費用を長男だけが負担するといった取り決めが挙げられるでしょう。
また、一時的に誰かが立て替えた費用を後で精算するときにトラブルが起こることを防ぐため、領収書や支払記録は必ず保管し、費用分担の合意内容を文書化しておくと安心です。
相続手続きは、家族間の感情も絡みやすいため、金銭トラブルを避けるための事前調整が大切です。

経費計上に関する税務上の取り扱い

相続登記費用は、相続税の債務控除には該当しませんが、将来不動産を売却する際には「取得費」として譲渡所得から差し引けます。
登録免許税や戸籍謄本の発行手数料、司法書士報酬などの合計を取得費に加算すれば、譲渡益がその分抑えられるため、結果として納める税金を減らすことが可能です。
ただし、この費用を取得費と認めてもらうには支払いの領収書や書類の写しをしっかり保管し、実際に支払った事実を証明できるようにしておく必要があります。
また、税制や関連する法令が変わる可能性もあるので、売却や相続に関する手続きをおこなう際は、税理士などの専門家にあらかじめ相談すると安心です。
不明確な点を放置したまま進めると、後から修正申告が必要になる場合もあるため注意しましょう。

まとめ

相続登記は、不動産の名義を正式に引き継ぐために必要不可欠な手続きであり、放置するとトラブルの原因にもなります。
登録免許税や司法書士報酬などの費用の一部は、経費計上できる場合もあるため、正確な知識が必要です。
手続き内容や必要書類を事前に把握しておくことで、相続登記を円滑に進めることができるでしょう。

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